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全米初登場第3位を記録した ケヴィン・スミス監督の集大成! |
94年、趣味で集めたコミックを売り払って自主制作した『クラークス』(94)がサンダンス映画祭でフィルム・メイカー賞を受賞。一躍脚光を浴びたケヴィン・スミスは、その後も『クラークス』同様、ニュージャージーを舞台に『モール・ラッツ』(95)、『チェイシング・エイミー』(97)、『ドグマ』(99)と、一筋縄ではいかないブラックで皮肉っぽいジョークをたっぷり盛り込んだコメディを次々と監督し、独特のポジションを確立してきた。そして、本作『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』は彼自身も言うように、過去の“ニュージャージー4作品”の集大成ともいえる作品となっている。 今回、彼の監督作品には必ず登場するとぼけたキャラクター、“ジェイ(ジェイソン・ミューズ)”と“サイレント・ボブ(スミス自身)”を主人公に大抜擢(!)、全編に渡って、映画ネタとパロディ、そして得意のブラックで少々下品な笑いが満載のケヴィン・ワールドが炸裂する。 若者に人気のコミック「ブラントマン&クロニック」はジェイとサイレント・ボブの実生活を基に描かれていた。ところが彼らの幼友達バンキー(ジェイソン・リー)が二人を裏切ることに。バンキーは二人に内緒でハリウッドへ「ブラントマン&クロニック」の映画権を売り込んでいたのだ。しかも映画『ブラントマン&クロニック』の主役には彼らではなく人気若手ハリウッド・スター(ジェイソン・ビッグスとジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク)が抜擢されていた。そのことを友人ブロディ(ジェイソン・リー2役)から知った彼らは度肝を抜かれる。しかも映画化されるにも関わらず、自分達の出番は全くなく、何の報酬もないうえに、映画化を知った若者達からは酷評されていた。キレた二人は映画をメチャメチャにしてやろうと、ハリウッドにあるミラマックスの撮影現場へと乗り込むために旅に出るが、当然金はないからヒッチハイク。ところが、それが思わぬ騒動を引き起こすことになり…。 主役の二人を演じるジェイソン・ミューズ、ケヴィン・スミス自身の他に、ベン・アフレック、マット・デイモン、ジェイソン・リー、シャノン・ドハティ、ジョーイ・ローレン・アダムス、クリス・ロック、ジョージ・カーリン、アラニス・モリセット等ケヴィン・スミス作品の常連組が本人役や過去の役柄で登場し、ウェス・クレイヴン、ガス・ヴァン・サントといった有名監督が実名で出演。そしてタイトルの元ネタ『スター・ウォーズ』組のマーク・ハミルとキャリー・フィッシャー等、妙に豪華なキャスティング。ラストには80年代を代表するファンク・バンド「ザ・タイム」までもが登場し、素晴らしいパフォーマンスを披露している。 |
ケヴィン・スミス、ジェイ&サイレント・ボブとの決別を語る |
ケヴィン・スミスのニュージャージー三部作「クラークス」、「モール・ラッツ」、「チェイシング・エイミー」、そしてマッド・デイモンとベン・アフレック主演の「ドグマ」も含め、彼の全作品に登場する「ジェイとサイレント・ボブ」。ニュージャージー州レッドバンクにあるッケヴィン・スミスのコミックショップの名前にもなっている二人は、スミスの描くコミックシリーズでも人気者である。その人気は、アクションフィギュアやTシャツはもちろん、コミック・コンベンションやコスチューム・コンテストのテーマになる程。そんな中、本作品がジェイとサイレント・ボブが登場する一連コメディーの最終章だと言う。
「彼らを見捨ててもいい頃だろう」スミスは無邪気に言う。「30才になって、全く違ったものに挑戦するチャンスなのさ。レイ&サイレント・フィルとか全く新しいキャラクターにね」。真剣に、この作品の後は違った作風の映画を制作するつもりだと言う。そして、その前に、彼は最後のアドベンチャー映画を完全な作品として残すことにした。「この作品はすごい。ヒッチハイクあり、女あり、ドラッグあり、スタジオあり、何千ものキャストもいる」。さらにスミスは声を高くして付け加えた「ジェイには初めてのキスシーンもある!それ以上にいいものなんてあるかい?」 |
ジェイ&サイレント・ボブのフィナーレに、ミラマックスが総力を結集 |
スミスは、このシリーズ最終章を、前代未聞のスーパーコメディーとして映画にすることを決意する。「ジェイとサイレント・ボブはもちろん映画の中心人物としての人気がある。だけど、他にも愉快で多くのキャストがいるし、それを楽しむべきなんだ。誰にとってもそのほうがいい」。ミラマックスにマット・デイモンとベン・アフレックを引き合わせ、大ヒット作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」とドル箱スターをもたらしたスミスのこの決断に対し、ミラマックスは会社をあげてバックアップした。
かくして、本作品には、あらゆる世代とスタイルの俳優が脇役として“抜擢”された。既に活躍中のハリウッドスターもいれば、全く無名の役者もいる。ベン・アフレック、マット・デイモンといった超人気スターや、ジェイソン・ビッグス、ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク、シャノン・エリザベスといった、スミスお気に入りの「アメリカン・パイ」「ドーソンズ・クリーク」等の作品で躍進著しい若手アイドル達。
しかし、「スター・ウォーズ」オタクのジェイとサイレント・ボブの最終章に及んで、スミスは遂に、マーク・ハミルとキャリー・フィッシャーを口説き落とした! さらに、クリス・ロック、ウィル・フェレル、トレイシー・モーガンといったスミスの敬愛する番組「サタデー・ナイト・ライブ」の出演者や、コメディ界の重鎮ジョージ・カーリンも出演。また、ベン・アフレックを筆頭に、ジェイソン・リー、ジョーイ・ローレン・アダムス、ブライアン・オハローラン、ジェフ・アンダーソン、アラニス・モリセットといったスミス作品の出演者達が過去に演じた役柄で出演し、このフィナーレを飾り立てる。「モール・ラッツ」以来ご無沙汰のシャノン・ドハティや、スミスの妻ジェニファー・スミスも出演。さらには、マーヴル・コミックの編集主幹ジョン・カサーダがカメオ出演しており、まさにスミスの人脈の集大成として、ファンにとってのお宝映画になっている。あの『デアデビル』も一瞬顔を見せている!? |
帝国をも恐れない、無敵のパロディ三昧! |
スミスは語る「この映画では腹を抱えて笑い、苦しむことになる。今度こそは道徳とか教訓なんてものはない。ぼくらは今、単なるおもしろい国にいるだけなのだ」と。その言葉通り、この映画には随所にスミスこだわりの映画に対する、ひねくれて子供っぽい愛情表現と、あからさまなパロディが散りばめられている。
その象徴が、タイトルの元ネタ「スター・ウォーズ」そのまんまのタイトル・バック! 映画の前半でジェイとサイレント・ボブがヒッチハイクする尼僧を演じるのは、「スター・ウォーズ」でレイア姫を演じたキャリー・フィッシャーだし、彼らが巻き込まれる女泥棒は「チャーリーズ・エンジェル」そのまま。ミラマックス製作の「ブライトマン&クロニクル」を撮影している自分自身の役で出演のジェイソン・ビッグスとジェームズ・ヴァン・ダー・ビークは、自身の出世作「アメリカン・パイ」と「ドーソンズ・クリーク」ネタを披露するといったサービス精神も発揮している。さらに、ジェイとサイレント・ボブがスタジオを逃げまわり、迷い込む先には、「スクリーム」を撮影するウェス・クレイヴンとシャノン・ドハティ、「グッド・ウィル・ハンティング 2」を撮影するガス・ヴァン・サントと、互いのキャリアをけなし合うマット・デイモン&ベン・アフレックが次々に登場する。「E.T.」のラスト・シーンの再現、クライマックスとなる「ブラントマン&クロニック」の撮影現場では、遂にサイレント・ボブがライト・セイバーを振りまわし、マーク・ハミル扮するコック・ノッカーと闘う「スター・ウォーズ』のワンシーンなど、映画ネタを挙げるときりがない。 |
マーク・ハミル出演の裏話 |
スミスにとって何よりも意義があったのは、何と言ってもマーク・ハミルとキャリー・フィッシャーの出演だった。ハミルはオファーをもらった時のことをこう語る「プロデューサーから電話があって、映画のタイトル(注:原題は「Jay and Silent Bob Strike Back」)を聞いた時、“大変なことになった!”って思ったよ。でも子供達がスミスの大ファンだったんだ。それで、出演するにあたって僕は、ルーカスに台本を読んでもらうことを条件として挙げた。実は、既に彼は読んでいて、一つだけ条件を挙げていた。それは、“ライトセイバーに色を使用しないこと”だったんだ」。こうして、ルーカス公認の下、本作品を完成できた喜びをスミスはこう語っている「彼は50万回も発せられるFワードなんて気にしなかった。彼は真のクリエイターだね」 |
ベン・アフレックが推測する、ジェイ&サイレント・ボブの未来予想図 |
スミスの初期の作品から出演しているアフレックは、彼についてこう振り返る「ケヴィンと僕はユーモアのセンスや世界観が同じなんだ。「モール・ラッツ」で初めて仕事をしたときから、あっけにとられたよ。同じ世代で、僕らにとって何が心底おもしろいかを知っているやつだった」。シリーズ最後となるこの映画の最終地点を、スミスはニュージャージー州レッドバンクの悪名高きクイック・ストップ(スミスと仲間たちがモノクロ映画「クラークス」を撮ろうと運命の決断をした場所)と決めていた。ジェイとサイレント・ボブを休ませるのに最高の場所だと思ったのである。だが、永遠に? これについては、ベン・アフレックは確固とした見解を持っている。「ケヴィンは完全に2人の野郎に取り付かれている。だから彼らが一生姿を現さないなんてことは無いんだよ」。
そう!ジェイ&サイレント・ボブは絶対に戻ってくるはずだ。今度は私達を“逆襲”するために! |